膜天井は、従来の「重くて軽い」天井から「軽くて柔らかい」天井とすることで
地震や劣化による屋根材の脱落落下の危険性を取り除く次世代の天井材です。
膜素材による包み込むようなやさしい安心感と
他の天井材では表現できないデザインの豊かさはこれまでにない空間演出を可能とします。
膜天井の特徴
①最も軽量な天井材
膜材料は従来の天井材に比べ非常に軽量であるため、万が一天井が落下した場合でも
人体や物へ与える衝撃を低減し、被害を最小限に抑えることができます。
②柔軟性
膜材料が持つ柔軟性は、これまでの天井の概念を変えるドレーブ形状や立体的な形状を表現します。
設計者の「こんな形状の天井をデザインしたい」を叶えることを可能にします。
また、軽さと柔らかさにより、強い揺れに対しても変形追従することで
天井落下のリスクを大幅に抑えることができます。
③透光性
膜天井は透光性により間接照明デザインとしても利用され
他の天井材には表現できない「明るく快適な空間」を演出することができます。
天井窓からの直射日光を取り込み、膜材を通して拡散させることで
ストレスを感じない自然な明るさに包み込まれる居心地の良い空間を表現します。
また、室内照明のみの場合でも光を効果的に反射させ、照明効果を高めることを可能にします。
④吸音性能
吸音率(NRC値)65%の細かい目のメッシュ膜材料を用いることで
音のエネルギーを吸収し、室内の不快な反響音を軽減させることを可能にします。
体育館やプールなど反響音が大きいスポーツ施設、ロビーやホールなど
人が集まりやすい場所に快適な音環境を提供します。
⑤特定天井に該当しない
膜天井は安全基準の対象となる脱落によって重大な危害を生ずるおそれがある「特定天井」に該当しません。
よって、高さや面積の制限を受けることなく大規模で安全性の高い天井を設計することが可能になります。
特定天井とは?
建築基準法 施工令39条第1項では、「地震」「風圧」「衝撃」等によって
天井が脱落・落下することがないよう対策を講じることが規定されていました。
しかしながら2011年の東日本大震災において、吊り天井等の落下など天井に関連した被害が多発したことから、
天井の脱落・落下対策を強化することを細かく定める法設備が必要となりました。
その結果、平成26年4月1日に、建築基準法 施工令39条に第3項が追加される改正が施工され、
その中で、「特定天井」が定義され、脱落・落下防止の技術的な基準が定められました。
特定天井の条件
・日常的に人が利用する場所である
・天井の高さが6mを超えている
・面積が200平方メートルを超えている
・質量が2kg/平方メートルを超えている
・吊り天井である
タイプ別ラインナップ
①全周定着タイプ
フレームを組み、ロープやアルミ材等で内装用に工夫した定着システムを
外周部全周に用いて膜材を定着する工法です。
パネル枠にはめたかのように平滑に膜を張ることが可能で
設備等との取り合いも考慮しやすく、天井の密閉性も高くなります。
②2辺定着タイプ
生地の両端(2辺)のみを定着させ、膜を一方向に懸垂する工法です。
使用部材が少なく、納まりもシンプルで変形追従性も高く、落下の危険性も低い工法です。
③サスペンションタイプ
生地の外周にポイントで金物を取り付け、テンションをかける工法です。
施工が早く、中間部材もないため、納まりもシンプルな工法です。