テント倉庫・膜構造建築物の建築基準法について

1,テント倉庫・膜構造建築物を巡る建築基準法の変遷

1950(S.25) 建築基準法制定 「前身は市街地建築物法(T.8)」
1965(S.40) 東京スタジアム・アイススケート場建築(サスペンション膜構造)
1966(S.41) 大阪野田スポーツセンター・アイススケート場建築(空気膜構造)
1984(S.59) (社)日本膜構造協会に膜構造建築物研究委員会発足
1987(S.62) 旧建築基準法第38条に基づく建設大臣の一般認定
・膜構造の建築物基準
「特定膜構造建築物技術基準」「中小規模膜構造建築物技術基準」
・テント倉庫建築物基準は、「テント倉庫技術基準」
・これらの基準を超える大型のものや、特殊のものは個別に大臣認定を取得
・なお、建築確認申請前に、(社)日本膜構造協会において設計審査を受ける。
2000(H.12) 旧建築基準法第38条 廃止
2000(H.12) 建設省告示第1446号 基礎、主要構造部の建築材料が適合すべき規格および品質に関する技術基準
2002(H.14) 国土交通省告示第666号(膜構造建築物)・667号(テント倉庫建築物)制定

 

2,国土交通省告示第666号と667号について

①告示第666号と第667号との主な相違点
・告示第667号の適用範囲の主な基準内容
・用途はテント倉庫に限定される
・延べ面積は1,000㎡以下で、階数が1に限定される。
・軒高は5m以下であること
・風荷重については、低減措置(基準風速x0.8)がある。
    ※上記条件にあてはまらない場合は、告示第666号外で検討する。
・告示第666号では、建築物の最高高さ制限13m以下、膜面投影面積は1,000㎡以下であるが、構造計算で安全性が確保できればこの限りではない。

②国土交通省告示第666号(膜構造建築物)
第1 適用の範囲等(規模構造、屋根形式等の規定)
第2 膜面の構造(膜材料、溶着・縫製等接合)
第3 膜面の定着(定着方法)
第4 耐久性等関係規定の指定(欠陥防止、劣化防止等)
第5 保有水平耐力計算、許容応力度計算又は令第82条各号及び令第84条の4に定めるところによる構造計算と同等以上に
      安全性を確かめることができる構造計算(構造計算手法手順)
第6 許容応力度(部材の応力の限界点の規定)
第7 基準強度(国土交通大臣指定)

③国土交通省告示第667号(テント倉庫建築物)
第1 適用の範囲等(規模構造、屋根形式等の規定)
第2 膜面の構造(膜材料、骨組、溶着、縫製等接合)
第3 膜面と基礎又は土台との接合(脚部アンカーボルト緊結)
第4 耐久性等関係規定の指定(欠陥防止、劣化防止等)
第5 テント倉庫建築物の基礎について定める構造計算(基礎の構造計算)
第6 テント倉庫建築物の安全性を確かめることができる構造計算(構造計算)

 

3,テント膜建築物の計画にあたって

テント・膜建築物は、用途、規模、利用方法等多岐にわたり、計画する建物の建築基準法での位置付けを検討の上、方針を決定する必要がある。
①テント倉庫建築物(国土交通省告示第667号)
②告示第667号に該当しない場合(国土交通省第666号)
③自動車車庫、スケート場などの運動施設、畜舎等の計画の場合(法84条の2)
④膜構造の仮設建築物の計画の場合(法85条)
⑤上記項目に該当しない場合は、国土交通大臣の認定を受ける。(一部認定あり)